経皮的冠動脈ステント留置術・形成術 説明と同意書-心筋梗塞・狭心症での入院時-

2回目の入院は狭心症

私は2015年8月6日に急性心筋梗塞で救急車に運ばれました。そして緊急で心臓カテーテル検査・治療を行いました。心臓の周りにある冠動脈の、3本ある血管のうち、2本に狭窄があり、うち1本は完全閉塞となっていました。前回の入院では、完全閉塞の方の血管を治療してもらいましたが、今回は狭心症で狭窄となっている血管の手術での入院です。

経皮的冠動脈ステント留置術・形成術 説明と同意書

経皮的冠動脈ステント留置術・形成術 説明と同意書

カテーテルというプラスティックでできた細長い管を太ももの付け根、手首あるいは肘の動脈から冠動脈(心臓の動脈)まで挿入し、このカテーテルを通じて冠動脈(心臓の血管)の狭窄(せまいところ)や閉塞(つまっているところ)をバルーン(治療用の風船)、ステント(金属製の網目状のパイプ)を挿入し拡張する治療です(図1・2)。

1)✓時間;約1時間~数時間(治療部位の状況により様々です)

2)✓カテーテルを挿入する部位(図3)
①✓太ももの付け根(大腿動脈);
利点は血管が太く、カテーテル自体は大腿動脈から入れるものとして作られているものが多いため手技はしやすい。血管が太いため挿入部の血管損傷のリスクは少ない。欠点は出血した場合に大量の出血になる場合がときにあることと治療後はべッド上の安静を4時間程度必要とします。
②✓手首(橈骨動脈)
利点は血管が細いため出血のリスクが少なく、治療後は4時間程度の間、手首さえ動かさなければ歩いたりできることです。欠点は血管が細いため治療後に血管が閉塞する可能性があることと血管の蛇行や血管のけいれんによりカテーテルが心臓まで到達できないことが他の挿入部位に比べて多いことです。
③✓肘(上腕動脈)
利点は前腕動脈よりは血管が太く治療後の血管閉塞が少ないこと、大腿動脈より血管が細いため輸血を必要とするような大きな出血になることがほとんどないこと、
治療後は肘さえ動かさなければトイレなどに歩くことができることです。欠点は血管の横に神経があるため腫入の際に神経を損傷するリスクがあることです。
④✓静脈(大腿静脈・頸静脈・肘静脈ほか)
治療によっては動脈以外に静脈からカテーテルを挿入することがあります。挿入部位は太ももの付け根、くび、ひじの静脈などです。

3)✓手順
①挿入部位に局所麻酔を行います(意識はある状態です)。
②シースという直径2-3mm前後のプラスティック製の管を血管の中へ挿入します。シースが血管内と体外をつないでいるため検査に必要な道具を出し入れすることができます。
③カテーテルをシースから冠動脈内へ挿入し、治療を行います。
④冠動脈の入り口に挿入したカテーテルからガイドワイヤーという細い針金を目的の血管へ挿入します。このガイドワイヤーに沿ってバルーン(治療用の風船)やステント(金属製の網目状の管)をすすめ、狭窒・閉塞部を拡張します(図1・2)。血栓などが狭窒・閉塞部位にある場合には吸引カテーテルという管を使って血栓を吸引します。

4)✓その他特殊な状況下で使用する機器
①大動脈バルーンパンピング;血圧が低下(ショック状態)したときなどに使用。
②経皮的肺補助装置;心停止あるいはそれに近い状態に陥ったときに使用。
③人工呼吸器;心不全などにより呼吸状態が悪化した場合に使用。

5)✓起こりえる合併症、危険性
①カテーテルを挿入する部位の合併症
Ⅰ.出血;検査後はシースを血管から抜去します。血管には直径2-3mm前後の穴が開いた状態になるため圧迫による止血を行いますが、止血できずに出血する場合があります。輸血をする場合もあります(0.2%程度)。
Ⅱ.仮性動脈瘤;シース抜去後の出血が持続すると穿刺部に動脈瘤が形成されることがあります。放置すると破裂するため圧迫による再止血が必要になります。外科的手術が必要になることもあります。頻度は0.02%程度です。
Ⅲ.動静脈瘻:穿刺部で動脈と静脈に交通が形成される場合があります。外科的手術が必要になることもあります。頻度は0.1%程度です。
Ⅳ.感染・皮膚潰瘍など;穿刺部位が細菌感染により化膜したり圧迫後に皮膚に水泡や潰瘍が形成される場合があります。0.06~0.62%程度。

②薬物によるアレルギー
検査で使用する造影剤などの薬剤によりアレルギーが起こることがあります。症状としては蕁麻疹、発熱、嘔吐などがありますが、重症例ではショック(血圧の異常な低下)を来す場合があり心肺蘇生処置が必要になることもあります。ショックを来すようなアレルギーの頻度は0.1%程度です。

③賢機能障害
検査で使用する造影剤により腎機能が悪化する場合があります。高度になれば透析を行う場合もあります。元々腎機能障害を有する場合は前日からの点満を行うことでリスクを軽減させています。また、カテーテルを挿入する際に動脈壁のコレステロールのかたまりがはがれて腎臓まで流れて行くことにより腎機能が障害されることもあります。

④不整脈
バルーンやステント拡張時などに一時的に冠動脈の血流が妨げられるため脈の乱れがみられることがあります。ときに心拍数が200以上になるような命にかかわる不整脈が出現することもあり電気ショックを行う場合があります。反対に脈が高度に遅くなり一時的なペースメーカーカテーテルを右心室へ挿入することがあります。

⑤塞栓症
カテーテル内にできた血のかたまり、空気、血管壁のコレステロールのかたまりが血管に流れることにより、到達した先の臓器に閉塞症状が出現することがあります。たとえば脳血管を閉塞した場合は脳梗塞、心臓の冠動脈を閉塞した場合は心筋梗塞、下肢の動脈を閉塞した場合は下肢の血行不良を起こすことがあります。脳梗塞を起こす頻度はおおよそ0.1%程度です。

⑥心臓・血管の損傷
カテーテルの心臓・血管への挿入やバルーン・ステントなどによる冠動脈の拡張時に心臓・血管を損傷する場合があります(0.5%程度)。それにより心筋梗塞(0.05~0.17%程度)や大量の出血を来し生命にかかわる場合もあるため緊急手術が必要になる場合もあります。

⑦神経障害
とくに肘の動脈から検査を行う場合に起こることがあります。肘の動脈には神経が併走しています。穿刺する場合に神経が正確にどこにあるかを把握することはできませんので雰刺しているときにしびれがあった場合には検査を施行する医師に訴えていただくことが重要です。

⑧ショック
治療中には様々な理由で血圧が高度に低下しショック状態になることがあります。場合によっては昇圧剤や大動脈バルーンパンピング(大動脈内へ大きな風船を挿入し、拡張・収縮させることで心臓の負担が軽減する道具)や経皮的心肺補助装置(簡易型の人工心肺) を使用することがあります。

⑨血栓症
治療中に種々の原因により冠動脈内に血栓(血のかたまり)が出現し、冠動脈を閉塞する場合があります。カテーテルによる吸引を行ったりしますが大量の場合には閉塞が解除されずに心筋梗塞や生命にかかわるような危機的な状態に陥ることがあります。

⑩死亡
重度の心血管損傷、不整脈、脳梗塞などが原因でおこり得る。治療では0.1%程度(重篤な状態で治療を受ける方を含みます)。

⑪その他予期しえない合併症
上記合併症については治療をする上でできる限りそのリスクを減らすよう日々努めております。また、治療を受けないことによるリスク(狭心症や心筋梗塞が疑われ放置すれば生命に関わる可能性があります)が上記合併症を上回る場合に当該検査、治療をすすめております。

●●病院:循環器科_______説明医師:_______

私は急性心筋梗塞・不安定狭心症あるいはその疑いに対して冠動脈ステント留置術・形成術とそれに伴う必要な治療の必要性、その結果生じる利益と不利益(危険性)についての説明を受けました。また、上記説明文をよく読み疑問点については医師からの説明を受け納得しました。上記を了承の上で上記検査、治療を受けることを承諾するとともに、緊急時には担当医師の適切な判断にゆだねることを承諾します。

●●病院院長殿
2015年8月13日
患者氏名 _______ 印 ※署名があれば押印は不要
家族等氏名_______ 印 (患者との続柄: )
※患者の署名があれば家族等の署名は不要
※患者が署名不能な場合や未成年者の場合には家族の署名が必要

実際に貰った説明と同意書

*病院や個人を特定できる情報は消させて頂いております。

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